「夜、洗面台の前でコラーゲン配合の化粧水とレチノール美容液を並べたものの、どちらを先に塗ればいいのか、そもそも一緒に使っていいのか分からない…」
と悩んでいませんか?
実は、「レチノールを塗ればコラーゲンが増えて肌が変わる」と言い切ることはできません。レチノールとコラーゲンの関係を調べた研究はありますが、対象や規模には限りがあり、期待の持ち方には注意が必要です。
レチノール(=ビタミンAの一種)とコラーゲンの関係は、高齢者36名を対象にした24週間の小規模な研究で報告されています。化粧品に配合されるコラーゲンは、レチノールとは役割が異なります。併用する場合は、化粧水のあとにレチノール、そのあとに乳液・クリームで仕上げる順番が各製品・記事で推奨されています。ただし、この順番を研究で確認した報告はありません。
この記事では、研究で分かっていることと限界、配合コラーゲンとの違い、併用の順番、A反応の抑え方、皮膚科受診の目安まで詳しく解説します。
レチノールはコラーゲンに関わる?研究で分かっていることと3つの限界
【結論】0.4%のレチノールを外用した高齢者36名の研究では、皮膚の一部を採取した小規模な分析で、真皮(=皮膚の深い層)のコラーゲンの材料(プロコラーゲンI)の増加が報告されています。ただし、対象が高齢者で規模が小さく、一般の成人に同じ結果が出ると言い切ることはできません。
確認できた研究
Kafiらが2007年に Archives of Dermatology で報告した研究では、平均87歳の高齢者36名の片腕に0.4%のレチノールを、もう一方の腕に基剤(=有効成分を含まない塗り薬のもと)を24週間塗って比較しました。レチノールを塗った側では微細なしわの評価が変化し、皮膚の一部を採取した小規模な分析でプロコラーゲンI(=コラーゲンの前段階の物質)とグリコサミノグリカン(=水分を保つ成分)の増加が見られたと報告されています。
3つの限界
- 対象が限られる: 平均87歳の高齢者の結果であり、年代の異なる成人にそのまま当てはまるとは限りません
- 生化学的な分析は小規模: 皮膚の分析で増加を調べた人数は、プロコラーゲンIで4名、グリコサミノグリカン(=水分を保つ成分)で6名でした
- 中止後の変化: 同じ研究では、塗るのをやめて24週間後には評価がもとの水準に戻ったことも指摘されています
市販の化粧品に含まれるレチノールの濃度は、この研究の0.4%と同じとは限りません。濃度や製品によって肌の変化の感じ方は異なります。
化粧品に配合されたコラーゲンとレチノールは何が違う?役割の整理
【結論】レチノールは、肌に塗ったときの作用が研究されている成分です。一方、化粧品に配合されるコラーゲンは、保湿などの目的で配合されることがある成分です。役割が異なるため、どちらかが一方の代わりになるわけではありません。
肌の中のコラーゲンは、真皮の細胞が作り出しています。一方、化粧品に配合されるコラーゲン(加水分解コラーゲンなど=コラーゲンを細かく分解した成分)が、真皮に届いて補充されるかどうかを示す臨床データは、現時点では確認されていません。
そのため、コラーゲン配合の化粧水は、保湿ケアの一つとして捉えるのが現実的です。コラーゲン配合化粧品の違いについては、次の記事も参考にしてください。
コラーゲン配合化粧品との併用順番3ステップ
ステップ1: 洗顔後に化粧水で整える
洗顔後は、コラーゲン配合の化粧水などで肌を整えます。化粧水が乾いてから、次のステップへ進みます。
ステップ2: レチノールを少量塗る
お使いの製品に記載された使用量の目安に従い、顔全体に少量ずつなじませます。目のまわりや口のまわりは避け、最初は夜のみ使います。
ステップ3: 乳液・クリームで仕上げる
レチノールを塗ったあとは、乳液やクリームを重ねて、肌の乾燥を防ぎます。使う前に、腕の目立たない部分などで少量を試し、肌の反応を確認してください。
レチノールの詳しい塗り方は、次の記事で解説しています。
効果を急がず使うために|A反応を抑える4つのポイント
【結論】レチノールは、使い始めに赤みや乾燥などのA反応(=使い始めに出やすい赤み・皮むけ・乾燥)が出ることがあります。少ない頻度から始め、保湿と紫外線対策を組み合わせて、肌の様子を見ながら続けます。
- 少ない頻度から始める: 最初は使用頻度を控えめにし、肌の様子を見ながら少しずつ調整します
- 夜のみ使う: レチノールを使用中は、肌が紫外線の影響を受けやすくなる可能性があります。朝は日焼け止めを毎日使います
- ピーリングと同じ日に重ねない: AHA・BHA(=角質を取り除く成分)を含むピーリングケアは、レチノールと刺激が重なる可能性があります
- 赤みが出たら休む: 赤みやヒリつきが出たら、レチノールを一時的に休み、保湿を優先します
併用できる成分や避けたい組み合わせは、次の記事で解説しています。
やめるべきサインと皮膚科受診の目安
【結論】強い赤み・腫れ・痛み・かゆみが出たときや、症状が長引くときは、レチノールを含むすべてのスキンケアを止め、皮膚科へ相談してください。
次のような場合は、使用を中止して受診を検討してください。
- 顔全体が赤く腫れ、熱を持つ
- 強いかゆみや発疹が広い範囲に出る
- 皮膚が裂けて出血する、液体がにじむ
- 化粧水をつけるだけで強い痛みがある
- 症状が長く続く
妊娠中・授乳中の方は、レチノールの使用前に医師へ相談してください。
レチノールとコラーゲンに関するよくある質問(FAQ)
【結論】レチノールが肌のコラーゲンを増やすと断定することはできません。併用は化粧水→レチノール→乳液・クリームの順が各製品・記事で推奨されており(研究で確認された手順ではありません)、赤みが出た場合は使用を控えてください。
Q1. レチノールは本当に肌のコラーゲンを増やしますか?
A. 増やすと言い切ることはできません。(詳細)
高齢者36名を対象にした24週間の小規模な研究で、コラーゲンの材料の増加が報告されていますが、対象と規模に限りがあり、一般の成人に同じ結果が出るとは限りません。
Q2. コラーゲン配合の化粧水や美容液とレチノールは一緒に使えますか?
A. 併用する場合は、化粧水のあとにレチノール、そのあとに乳液・クリームを重ねる順番が推奨されています。この順番の効果を示す臨床データは確認できていません。(詳細)
肌に異常を感じたら使用を中止してください。
Q3. レチノールで赤みやチクチクが出るのは正常ですか?
A. 使い始めに赤みや乾燥が出ることがありますが、強い症状は正常とは言い切れません。(詳細)
頻度を減らして保湿を優先し、症状が長く続く場合や強い痛みがある場合は、皮膚科へ相談してください。
Q4. レチノールの効果を感じるまで、どのくらいかかりますか?
A. 個人差が大きく、一律の期間は示せません。(詳細)
前述の研究では24週間使用し、中止から24週間後には評価がもとの水準に戻ったと指摘されています。短期間で結果を求めず、肌の様子を見ながら続けてください。
Q5. レチノールは朝と夜のどちらに使うべきですか?
A. 夜に使う方法が紹介されています。(詳細)
使用中は肌が紫外線の影響を受けやすくなる可能性があるため、朝に使う場合も日焼け止めを毎日併用してください。ビタミンCなどとの併用は、製品の注意書きを確認してください。
まとめ|レチノールのコラーゲン研究は限定的、期待は控えめに
- 研究の見方: 高齢者36名・24週間の小規模研究であり、一般の成人への適用は断定できない
- 配合コラーゲンとの違い: 保湿ケアの一つとして捉え、レチノールの代わりにはならない
- 併用の順番: 化粧水→レチノール→乳液・クリームの順が各製品・記事で推奨されているが、研究で確認された手順ではない
- A反応の抑え方: 少ない頻度から始め、夜のみ使い、日焼け止めを併用する
- 受診の目安: 強い赤み・腫れ・痛みが出た場合や、症状が長引く場合は皮膚科へ
レチノールのケアは、短期間で結果を求めるものではありません。肌の様子を見ながら、無理のないペースで続けることが大切です。
※本記事は一般的なスキンケア情報であり、医薬品のような効果を保証するものではありません。肌に異常が出た場合は使用を中止し、皮膚科専門医にご相談ください。