麻布の上に置かれた琥珀色のスポイトボトル
イメージ写真です

「顔にレチノールを塗ったあと、髪が生え際に触れてしまった…」
夜の洗面所で、そんな不安を感じていませんか?以前に頬が赤くなって皮がむけた経験があると、髪や頭皮にまで影響が出ないか、枕に残る抜け毛はレチノールのせいではないかと心配になります。

実は、レチノールを髪の毛に使って、髪そのものを整えたり増やしたりすることを裏付ける根拠は、確認できた範囲では見つかりません。レチノールは髪の毛そのものを整える目的の成分ではなく、化粧品では育毛・発毛をうたえません。顔用が髪に付いたら洗い流し、頭皮に使うなら表示と区分を確認し、抜け毛が増えたときは自己判断せず皮膚科へ相談します。

この記事では、髪の毛と頭皮で何が違うのか、抜け毛との関係で分かっていること・分かっていないこと、付いたときの対処、頭皮に使う前の確認点、受診の目安までを解説します。

レチノールは髪の毛に使える?先に知っておきたい3つの前提

【結論】レチノールは皮膚に使うビタミンAの仲間の成分で、髪の毛そのものを対象にした成分ではありません。化粧品の効能の範囲には育毛・発毛が含まれないため、「髪が生える」とうたう使い方は期待できません。

手のひらにのせたクリーム
イメージ写真です

前提1:髪の毛(毛幹)は皮膚と違い、レチノールが働く生きた細胞を含まない

レチノールはビタミンAの一種で、皮膚の中で別の形に変換されて、表皮(=肌の一番外側の層)の細胞や真皮(=表皮の下にあり、ハリを支える層)の細胞に作用すると考えられています。一方、頭皮の外に出ている髪の毛の部分(毛幹)は、角化した(=硬いたんぱく質に変わった)組織で、皮膚のような生きた細胞は含まれていません。そのため、レチノールが髪の毛に付いても、顔の肌で起こるような反応が髪の毛で起こるとは考えにくいです。

前提2:頭皮は皮膚なので、反応が出るのは髪ではなく頭皮・生え際

レチノールで赤みや皮むけ(A反応=ビタミンAの仲間の使い始めに起こりやすい赤み・乾燥・皮むけのこと)が出るのは皮膚です。顔用を塗るときに気をつけたいのは、髪の毛よりも、生え際・頭皮・耳まわりに付いたときの皮膚の反応です。

前提3:化粧品では育毛・発毛を効能としてうたえない

厚生労働省の「化粧品の効能の範囲」には、頭皮・毛髪を清浄にする、フケ・カユミを抑える、毛髪をすこやかに保つ、などの項目はありますが、育毛・発毛は含まれていません。育毛をうたう製品は、医薬部外品(=有効成分を配合し、効能の表示が認められた製品区分のこと)や医薬品の範囲になります。「レチノール配合」と書かれたヘアケア製品でも、化粧品として売られているなら、髪が増えることを期待する根拠にはなりません。

レチノールと抜け毛の関係|分かっていることと分かっていないこと3点

【結論】外用のレチノール化粧品で抜け毛が増える、または減るといった関係は、確認できた範囲では十分な根拠がありません。抜け毛が増えたときは、レチノール以外の原因も合わせて考えます。

1. ビタミンAの不足と過剰は別の話

ビタミンAは皮膚や粘膜の健康に関わる栄養素で、厚生労働省の「日本人の食事摂取基準」では、摂りすぎを避けるための耐容上限量(=これ以上摂ると健康への影響が出るおそれがある量の目安のこと)が定められています。サプリメントなどで食事以外から過剰に摂取すると、健康への影響が出るおそれがあるため、耐容上限量を超えない範囲で使うことが大切です。これは口から摂る量の話で、顔に塗る化粧品の話とは分けて考える必要があります。不足の話と過剰の話を混同すると、「ビタミンAを塗ればよい」「塗ると抜ける」のどちらも誤解につながります。

2. 塗るレチノールと発毛の関係は、確認できた範囲では未確立

海外の美容クリニックの解説記事(Belgravia Centre)では、ビタミンAと発毛の関係について、認可された効能効果はなく、仕組みも十分には分かっていないと紹介されています。この記事は一次研究ではないため、本記事では効果の有無を断定しません。

3. 抜け毛が増える原因はほかにも多い

抜け毛が増える背景には、季節の変化、産後、強いストレス、急なダイエット、頭皮の炎症、男性型・女性型の脱毛症などがあります。レチノールを使い始めた時期と抜け毛が増えた時期が重なっても、関係があるとは限りません。原因を絞るには、使用を休んで経過を見るだけでなく、皮膚科で診てもらうほうが原因を特定しやすいと考えられます。

顔用レチノールが髪や頭皮に付いたときの対処4ステップ

【結論】付いたことに気づいたら、まず拭き取って洗い流し、赤みやかゆみが出ないかを数日確認します。何も起きなければ、過度に心配する必要はないと考えられます。

バスローブ姿で頬にキュウリのスライスをのせて休む女性
イメージ写真です
  1. こすらず拭き取る:ティッシュやタオルで、髪や生え際に付いた分を軽く押さえて取ります。広げないよう、強くこすりません。
  2. 洗い流す:入浴時やその場で、ぬるま湯で洗い流し、普段のシャンプーですすぎ残しがないように洗います。熱いお湯は刺激になりやすいため避けます。
  3. その夜は保湿を中心にする:生え際や頭皮がつっぱる場合は、普段使っている低刺激の保湿剤にとどめ、ほかの新しい製品を重ねません。
  4. 数日は頭皮と生え際を観察する:赤み、かゆみ、ヒリつき、皮むけが出ないかを見ます。

今後は、レチノールを塗る前に髪をまとめ、生え際から少し離して塗ると、付きにくくなると考えられます。

頭皮にレチノール製品を使う前の4つの確認点

【結論】顔用のレチノール製品は、頭皮への使用が表示されていない限り、想定された使い方かどうか確認できません。レチノール配合をうたう頭皮用・ヘアケア製品を使う場合は、全成分、製品区分、使い方、試し塗りの4つを確認してから始めます。

確認1:全成分に「レチノール」またはその誘導体(=レチノールを元に化学的に変えた仲間の成分)の名前があるか

「ビタミンA配合」などの言葉だけでは、どの成分がどれだけ入っているか分かりません。全成分表示で、「レチノール」「パルミチン酸レチノール」などの名称を確認します。レチノール配合をうたうヘアケア製品が販売されていることもありますが、製品ごとの全成分表示を確認してから判断します。

確認2:化粧品か医薬部外品か

育毛・薬用の表示がある場合は、有効成分が何かを確認します。有効成分がレチノールではない場合、育毛の表示はレチノールによるものではありません。

確認3:頭皮用と書かれた製品か、使い方の指示があるか

顔・体用の製品に頭皮への使用が表示されていない場合、メーカーが頭皮への使用を想定しているかは確認できません。頭皮用の使い方、量、頻度、すすぎの指示が書かれた製品を選びます。

確認4:試し塗りをして、少量から始める

二の腕の内側など目立たない場所で試し塗り(パッチテスト)をします。頭皮に使うときは、まず少量から使い始め、使用後の数日間は赤みやかゆみが出ないかを確認します。すでにフケ、かゆみ、湿疹がある頭皮には使いません。

やめるべきサイン4つと皮膚科受診の目安

【結論】強いヒリつき、赤み、かゆみ、抜け毛の急な増加のいずれかがあれば、レチノール製品の使用を中止します。症状が続く場合は、皮膚科で相談します。

やめるべきサイン

  • 塗った直後から頭皮や生え際が強くヒリヒリする
  • 赤みや湿疹が数日たっても引かない
  • かゆみが強く、頭皮がはがれ落ちる
  • 抜け毛が急に増えたと感じる

皮膚科受診の目安

使用を中止しても症状が数日以上続くとき、顔や首まで赤みが広がるとき、抜け毛が数週間以上続いて頭頂部や分け目が薄く見えるときは、使っていた製品の名前と全成分表示を持って皮膚科を受診してください。脱毛症は原因によって対処が異なるため、自己判断で製品を重ねず、診断を受けたうえで対処を選びます。

妊娠中・授乳中の注意

妊娠中・授乳中にビタミンA類を含む化粧品を使うかどうかは、事前に医師へ相談してください。

レチノールと髪の毛に関するよくある質問(FAQ)

【結論】レチノールと髪・抜け毛の関係は、確認できた範囲では十分な根拠がありません。頭皮に使う場合は表示を確認し、やめるべきサインが出たら使用を中止します。

Q1. レチノール配合の化粧品は、髪や頭皮に使っても大丈夫ですか?

A. 髪の毛そのものに使う目的の成分ではありません。顔用の製品は、頭皮への使用が表示されていない限り、想定された使い方かどうか確認できません。(詳細)

頭皮に使う場合は、頭皮用と書かれた製品の使い方を守り、試し塗りをして少量から始めます。

Q2. 顔用のレチノールが髪についてしまったらどうすればいいですか?

A. こすらず拭き取り、ぬるま湯とシャンプーで洗い流します。(詳細)

その後数日は、頭皮と生え際に赤みやかゆみが出ないかを見ます。何も起きなければ、過度に心配する必要はないと考えられます。

Q3. レチノールを使うと抜け毛は増えますか?

A. 外用のレチノール化粧品と抜け毛の増加の関係は、確認できた範囲では十分な根拠がありません。(詳細)

抜け毛は季節、産後、ストレス、頭皮の炎症、脱毛症などでも増えます。不安が続くときは皮膚科で相談してください。

Q4. ビタミンAは髪の健康に関係がありますか?不足と過剰の違いは?

A. ビタミンAは皮膚や粘膜の健康に関わる栄養素ですが、髪の毛を増やす目的の成分とは言えません。(詳細)

食事以外から過剰に摂ると健康への影響が出るおそれがあるため、サプリメントを使う場合は、表示された摂取目安量を守ります。

Q5. 頭皮にレチノール製品を使うとき、刺激や皮むけはどう見極めますか?

A. 塗った直後の強いヒリつき、数日続く赤み、かゆみ、はがれ落ちる皮むけは、やめるべきサインです。(詳細)

使用を中止して、症状が続く場合は皮膚科を受診してください。

まとめ|レチノールと髪の毛の4つの要点

【結論】レチノールは髪の毛そのものを整える目的の成分ではなく、化粧品で育毛・発毛はうたえません。付いたときは洗い流し、頭皮に使う前は表示を確認します。

  • 髪の毛との関係:髪の毛(毛幹)は皮膚と違い、反応が出るのは頭皮・生え際の皮膚
  • 抜け毛との関係:外用のレチノール化粧品と抜け毛の関係は、確認できた範囲では十分な根拠がない
  • 付いたとき:拭き取り、洗い流し、数日観察する
  • 頭皮に使う前:全成分、製品区分、使い方、試し塗りを確認する

レチノールのケアは、肌や頭皮の様子を見ながら、時間をかけて続けるかどうかを判断することが大切です。

※本記事は一般的なスキンケア情報を目的としており、特定の効果効能を保証するものではありません。頭皮や髪の状態に不安がある場合は、皮膚科専門医へご相談ください。

🔍 次はコレ

「レチノール」配合コスメ、見てみる?

「レチノール」を配合したコスメや、気になる肌悩みから、あなたに合うアイテムを探せます。