結論から言うと、ナイアシンアミド※1は日焼け止めの代わりにはなりません。朝、ナイアシンアミドの美容液を塗ったあとに日焼け止めまで塗るべきか手が止まる人は少なくないのではないでしょうか。ナイアシンアミドは紫外線を防ぐ目的で配合される成分ではないため、「紫外線に強くなる」と受け取るのは誤解です。ナイアシンアミドは、医薬部外品※2の有効成分として配合されることがある成分ですが、紫外線対策では日焼け止めが中心的な手段です。 この記事では、紫外線を防ぐ成分との違い、確認できた報告の範囲、朝の日焼け止めとの順番、日焼け後に使うときの注意点を整理します。
※1:ナイアシンアミドとは、ビタミンB3の一種で、水に溶けやすい成分です。化粧品や医薬部外品に配合されるほか、食品にも含まれています。ニコチン酸アミドと呼ばれることもあります。
※2:医薬部外品とは、薬機法で定められた、化粧品と医薬品の中間に位置づけられる区分です。有効成分が配合され、有効成分の欄に表示されます。有効成分の種類や表示できる効能は製品ごとに異なるため、購入前にパッケージの有効成分欄と効能の表示を確認してください。
ナイアシンアミドは日焼け止めの代わりになる?結論と3つの理由
【結論】ナイアシンアミドは日焼け止めの代わりになりません。日焼け止めの紫外線防御は製品の処方と塗る量で決まり、ナイアシンアミドを塗ったことでは補えないためです。
代わりにならない理由は、次の3つです。
- 紫外線を防ぐ設計の成分ではない:日焼け止めの紫外線防御には、紫外線を吸収・散乱する成分が使われます。ナイアシンアミドは、この役割で配合される成分ではありません
- 表示される効能は製品によって異なる:ナイアシンアミドを有効成分とする医薬部外品には、効能が表示されている製品があります。表示の文言は製品ごとに異なるため、パッケージの有効成分欄と効能の表示で確認してください
- 紫外線防御の目安はSPF・PA※3という製品の表示で確かめる:美容液にSPF・PAの表示がなければ、紫外線防御の目安を製品から読み取ることはできません
※3:SPF・PAとは、日焼け止めなどの紫外線防御効果を示す表示です。SPFは主に日焼け(赤み)の原因になる紫外線(UV-B)を、PAは主に肌の奥まで届きやすい紫外線(UV-A)を防ぐ効果の目安を示します。
つまり、ナイアシンアミドを使っていても、屋外に出る日は日焼け止めが必要です。ナイアシンアミドは日焼け止めの代わりではなく、日焼け止めを塗ったうえで併用する成分として考えると、混乱しにくくなります。
紫外線を「防ぐ」成分と「メラニンに関わる」成分の違い3つ
【結論】紫外線を防ぐ成分は肌の表面で紫外線に働きかけ、ナイアシンアミドは肌の内部でメラノソームが周囲の細胞へ移る過程に関わる可能性が報告されている成分です。働く場所と目的が異なります。
日焼け止めに配合される紫外線防御成分は、大きく2種類に分かれます。どちらも、肌の表面で紫外線が肌の内部に届くのを減らす働きを担います。
- 紫外線吸収剤※4
- 紫外線散乱剤※5
※4:紫外線吸収剤とは、紫外線を吸収し、熱などのエネルギーに変えて放出する成分です。
※5:紫外線散乱剤とは、酸化亜鉛や酸化チタンなどの粉体で、紫外線を反射・散乱させる成分です。
一方、ナイアシンアミドは、肌の内部で作られるメラニンに関わります。メラニンは、肌の内部にあるメラノサイト※6で作られ、メラノソーム※7という小さな袋に入って周囲の細胞へ受け渡されます。ナイアシンアミドは、このメラノソームが周囲の細胞へ移る過程を抑える可能性が報告されています[1]。紫外線が肌に当たること自体を減らす働きではないため、紫外線の量を減らす点では、日焼け止めと役割が分かれます。
※6:メラノサイトとは、メラニン色素を作る色素細胞のことです。
※7:メラノソームとは、メラニン色素を含む小さな袋状の構造で、メラノサイトから周囲の細胞へ受け渡される際に使われます。
整理すると、次の表のようになります。
| 項目 | 日焼け止め | ナイアシンアミド |
|---|---|---|
| 働く場所 | 肌の表面 | 肌の内部(メラノソームの移動に関わる可能性が報告されている) |
| 主な目的 | 紫外線が肌に届く量を減らす | メラニンに関わる働きが報告されている |
| 防御の目安 | SPF・PAの表示 | 成分単体ではSPF・PAの値を持たない |
外用・経口・試験管内の結果を分けて読む|4つの区分
【結論】ナイアシンアミドと紫外線に関する研究は、「塗る」「飲む」「試験管内」で対象が異なります。外用の化粧品の話に、経口や試験管内の結果をそのまま当てはめないことが大切です。
検索で目にする情報は、次の4つの対象が混ざっていることがあります。
- メラノソームの移動を調べた報告:メラニンを含む袋が周囲の細胞へ移る過程を抑える可能性が報告されています[1]。ただし、この報告だけで製品の効能が決まるわけではありません
- DNA損傷※8の修復や抗酸化※9に関する話:試験の対象(実験で使った細胞か、人の肌か)によって結果の意味が異なり、市販の外用製品を毎日使ったときの結果と同じとは限りません
- 経口(飲む)ナイアシンアミドの研究:経口摂取と皮膚がんリスクの関連を扱った報道があります[2]。ただし、原論文は確認できていないため、この記事では内容に踏み込みません。飲んだ場合の話であり、化粧品として塗った場合の紫外線対策の根拠にはなりません
- 製品全体の研究と原料単体の研究:製品には保湿成分などの他の成分も配合されているため、ナイアシンアミドだけの作用かどうかは、製品の試験からは切り分けにくい面があります
※8:DNA損傷とは、紫外線などで細胞の遺伝情報(DNA)が傷つくことです。
※9:抗酸化とは、肌を酸化させる活性酸素の働きを抑えることです。
外用のナイアシンアミドを、日焼けや紫外線による色素沈着の予防を目的に使ったときの効果については、今回確認できた範囲では、日焼け止めの代わりになることを示す根拠は見つかりませんでした。確認できなかったことは、効果があるとも、ないとも言い切れないため、日焼け止めを優先する考え方が安全です。
朝の使い方|日焼け止めとの順番と量の目安3ステップ
【結論】朝は、洗顔後にナイアシンアミド配合の化粧水や美容液を使い、乳液やクリームのあとに日焼け止めを塗ります。日焼け止めは、規定の量を守って塗ることが重要です。
朝のスキンケアの順番を、3ステップにまとめます。
- 洗顔のあと、化粧水・ナイアシンアミド配合の美容液を使う:製品に記載された量と順番に従います。美容液と化粧水の順番は製品によって異なるため、パッケージの案内を確認します
- 乳液やクリームで保湿する:日焼け止めを塗る前に、肌の表面をなじませます
- 最後に日焼け止めを塗る:日焼け止めは、スキンケアの最後に、製品に記載された量を顔全体に均一に塗ります
SPF・PAの表示は、製品に記載された量を塗ったときの目安です。規定より薄く塗ると、表示どおりの紫外線防御効果が得られないことがあります。また、汗や皮脂、摩擦で落ちやすいため、屋外で長く過ごす日は、製品の案内に従って塗り直します。
ナイアシンアミド配合製品の使うタイミング(朝・夜)は製品ごとに案内が異なるため、パッケージの記載を確認してください。
日焼け後に使ってよい?急性の赤みと色素沈着の区別
【結論】日焼け直後に赤みやヒリつきがあるときは、ナイアシンアミド配合の製品も含めて、新しい化粧品を重ねるのを控えます。赤みが落ち着いてから、普段の手順に戻すのが無難です。
日焼けには、大きく2つの段階があります。
- 急性の反応:日焼け直後から数日にかけて起こる、赤み、ほてり、ヒリつき。肌が炎症を起こしている状態です
- 色素沈着:その後、時間をおいて起こる、肌が茶色っぽくなる変化。メラニンが増えることが関わっています
ナイアシンアミドは、メラニンに関わる報告のある成分のため、色素沈着の段階の話として語られがちです。ただし、外用のナイアシンアミドを日焼け後の色素沈着に使った場合の効果を調べた人を対象にした試験は、今回確認できた範囲では見つかりませんでした。
日焼け直後の赤みやヒリつきがある間は、肌の刺激を避けることが先です。冷たいタオルなどで肌を冷やし、保湿を中心に整え、赤みが落ち着いてから、普段使っているナイアシンアミド配合の製品に戻します。新しく使い始める場合は、事前に腕の内側などに少量を塗り、赤みやかゆみが出ないかを確かめておくと安心です。
こんなサインが出たら使用を中止|皮膚科受診の目安
【結論】ナイアシンアミド配合の製品でも、赤み・かゆみ・ヒリつきが出たら使用を中止します。日焼けによる水ぶくれや強い痛みがあるときは、早めに皮膚科を受診してください。
次のようなサインが出たときは、使用を中止して様子を見ます。
- 塗ったところが赤くなる、かゆくなる、ヒリヒリする
- 使い始めてから、ぽつぽつとした吹き出物やカサつきが増えた
- 日焼けのあとに、赤みが数日たっても引かない
次のような場合は、自己判断で続けずに、皮膚科に相談してください。
- 日焼けで水ぶくれができた、強い痛みがある
- 使用を中止しても赤みやかゆみが1週間以上続く
- 以前から気になっているシミが、短期間で濃くなる、形が変わる、盛り上がってくる
シミのように見えても、ほかの皮膚の変化が隠れていることがあります。気になる変化は、化粧品で様子を見続けずに、早めに皮膚科で診てもらうことをおすすめします。
ナイアシンアミドと紫外線に関するよくある質問(FAQ)
【結論】ナイアシンアミドは日焼け止めの代わりにはならず、朝は日焼け止めを最後に塗ります。
Q1. ナイアシンアミドは日焼け止めの代わりになりますか?
A. なりません。(詳細)
ナイアシンアミド単体は紫外線を防ぐ設計の成分ではなく、SPF・PAの値を持ちません。屋外に出る日は、日焼け止めを塗ったうえでナイアシンアミド配合の製品を併用します。
Q2. ナイアシンアミド美容液と日焼け止めは、朝どの順番で使えばよいですか?
A. 洗顔のあとにナイアシンアミド配合の化粧水や美容液を使い、乳液やクリームで保湿してから、最後に日焼け止めを塗ります。(詳細)
製品ごとに案内が異なる場合は、パッケージの案内を優先してください。
Q3. ナイアシンアミドは紫外線による色素沈着の対策になりますか?
A. 日焼け止めの代わりにはなりません。(詳細)
ナイアシンアミドを有効成分とする医薬部外品には、効能が表示されているものもあります。表示は製品ごとに異なるため、パッケージの効能の表示を確認してください。日焼け止めによる紫外線対策を優先したうえで、毎日の手入れに取り入れるものと考えてください。
Q4. 日焼けでヒリヒリする肌にナイアシンアミドを使っても大丈夫ですか?
A. 赤みやヒリつきがある間は、新しい化粧品を重ねるのを控えます。(詳細)
肌を冷やして保湿を中心に整え、赤みが落ち着いてから、普段の手順に戻すのが無難です。水ぶくれや強い痛みがあるときは、皮膚科を受診してください。
Q5. ナイアシンアミドを飲むと紫外線に強くなりますか?
A. 飲んだ場合の研究は報じられていますが、対象は経口での摂取であり、化粧品として塗る場合とは別の話です。(詳細)
サプリメントについては、摂取量や持病との関係があるため、利用前に医師や薬剤師に相談してください。
まとめ|日焼け止めを中心に、ナイアシンアミドは併用で
【結論】ナイアシンアミドは、紫外線を防ぐ成分ではなく、日焼け止めの代わりにはなりません。 朝は日焼け止めを紫外線対策の中心に置き、ナイアシンアミドは併用する成分として取り入れます。
- 代わりにはならない:SPF・PAは紫外線防御効果の表示で、ナイアシンアミド単体にはその値がありません
- 働く場所が違う:日焼け止めは肌の表面で、ナイアシンアミドは肌の内部でメラノソームの移動に関わる可能性が報告されています
- 研究の対象を区別する:外用、経口、試験管内の結果を混同せず、確認できた範囲で判断します
- 朝は日焼け止めを最後に:保湿のあとに、規定の量の日焼け止めを塗ります
- 日焼け直後は控える:赤みやヒリつきがある間は、新しい化粧品を重ねるのを控えます
肌の状態は一度のケアで変わるものではなく、日焼け止めを毎日続けることが土台になります。肌に不安があるときは、自己判断せずに皮膚科に相談してください。
【免責】本記事は一般的なスキンケア情報を目的としており、特定の効果効能を保証するものではありません。肌の状態には個人差があるため、異常を感じたときは使用を中止し、皮膚科専門医へご相談ください。