洗顔後にタオルで顔を拭く40代の女性

「以前と同じスキンケアをしているだけなのに、洗顔のあと頬がつっぱって粉をふく」
鏡の前でそんな変化に戸惑っていませんか?

実は、更年期の肌の乾燥・ゆらぎを「加齢だから仕方ない」と諦めて放置してしまう方は少なくありません。しかし原因を正しく理解すれば、ケアの方向性を絞り込むことは十分に可能です。更年期の肌の乾燥・ゆらぎの主な原因は、女性ホルモンの一種であるエストロゲンの減少による皮脂分泌量の低下とバリア機能の低下であり、セラミドなどの保湿成分を中心とした低刺激な処方に切り替え、数ヶ月単位で継続することが基本の対策になります。この記事では、更年期特有の肌の変化が起こるメカニズムから、避けたいNG習慣、保湿成分の選び方、日常でできるインナーケアまで詳しく解説します。

更年期になると肌が乾燥・ゆらぎやすくなるのはなぜ?|エストロゲン減少が引き起こす3つの変化

乾燥してつっぱった頬の肌のクローズアップ

【結論】更年期の肌トラブルは、女性ホルモン「エストロゲン」の減少によって皮脂分泌量とバリア機能が低下し、肌が乾燥・敏感に傾きやすくなることが主な原因です。

皮脂分泌量の低下と天然保湿因子の減少

エストロゲン※1は皮脂腺の働きを支える役割を持つホルモンの一つです。更年期にはこのエストロゲンの分泌量が段階的に減少するため、皮脂の分泌量も減っていく傾向があります。実際に、40代女性を対象に4年間にわたり肌の状態を追跡した日本生気象学会の研究では、皮脂量が年を追うごとに減少し、その減少率も年々大きくなることが報告されています(詳細は本記事末尾の参考文献を参照)。皮脂が減ると肌表面を覆う皮脂膜が薄くなり、角質層に含まれる天然保湿因子※2が失われやすくなります。天然保湿因子は角質層内の水分を保持する役割を担っているため、その減少は肌の水分保持力の低下につながると考えられています。

※1:エストロゲンとは 卵巣から分泌される代表的な女性ホルモンで、皮膚のコラーゲン産生や皮脂分泌、水分保持機能の維持に関わっているとされる物質です。

※2:天然保湿因子とは 角質層の細胞内にあり、アミノ酸や乳酸などから構成される、水分を抱え込んで保持する働きを持つ物質の総称です。

バリア機能の低下と経表皮水分蒸散量の増加

皮脂や天然保湿因子が減少すると、肌表面のバリア機能※3も低下しやすくなります。バリア機能が低下した肌では、体内の水分が肌表面から蒸発する量を示す経表皮水分蒸散量※4が増加する傾向があることが、先述の研究でも確認されています。これにより肌の乾燥が進むだけでなく、外部からの刺激物質が侵入しやすくなり、かゆみやヒリつきなどの症状につながる場合もあります。

※3:バリア機能とは 肌の最も外側にある角質層が持つ、水分の蒸発を防ぎ、外部の刺激や異物の侵入を防ぐ働きのことです。

※4:経表皮水分蒸散量とは 英語表記の頭文字からTEWLとも呼ばれ、皮膚の内部から表面を通じて蒸発していく水分量の指標です。数値が高いほどバリア機能が低下している状態と考えられています。

血管反応の乱れによる「ほてり」「赤み」の出やすさ

公益社団法人日本産科婦人科学会は、更年期障害の代表的な症状として「ほてり」「のぼせ」などの血管症状を挙げています(詳細は本記事末尾の参考文献を参照)。これは自律神経を介した血管の反応が影響していると考えられており、顔が急にほてったり赤くなったりする症状として現れる場合があります。バリア機能が低下した状態でこうした血管反応の乱れが重なると、肌が「ゆらぎやすい」状態になりやすいと言えます。

更年期の肌の乾燥・ゆらぎはいつからいつまで続く?|ホルモン変化の時間軸で見る肌の状態

【結論】更年期の肌の変化は、閉経の前後数年にわたる「更年期」という期間を通じて緩やかに進行するため、症状の出方や続く期間には個人差があります。

公益社団法人日本産科婦人科学会によると、更年期は閉経前の5年間と閉経後の5年間をあわせた約10年間を指すとされ、日本人女性の平均閉経年齢は50歳前後とされていますが個人差が大きいとされています。この期間、エストロゲンの分泌量は一直線に減少するのではなく、大きくゆらぎながら段階的に低下していくことが説明されています。そのため肌の乾燥・ゆらぎの症状も、更年期に入ってすぐ強く出る方もいれば、閉経後にじわじわと進行する方もいるなど、時期や程度に個人差があります。症状が急激に改善するものではないため、数ヶ月から数年単位で肌の状態を見ながらケアを継続する視点が必要になります。

やってはいけない!更年期の肌に負担をかけるNG習慣5つ

【結論】更年期の肌には、若い頃と同じ洗浄力の高いケアや、我慢して同じアイテムを使い続ける習慣が負担になりやすいため、見直しが必要です。

  • 洗浄力の強い洗顔料でゴシゴシ洗う:皮脂膜をさらに落としてしまい、乾燥とバリア機能の低下を助長する可能性があります。
  • 収れん化粧水だけで保湿を済ませる:さっぱりした使用感は得られても、油分による水分保持の仕上げが不足しがちです。
  • 熱いお湯で長時間の洗顔・入浴をする:皮脂や天然保湿因子を必要以上に洗い流してしまう可能性があります。
  • 新しい成分を一度に複数試す:バリア機能が低下している時期は刺激を受けやすく、どの成分が合わないか判断しづらくなります。
  • 症状が出ても同じスキンケアを我慢して使い続ける:肌に合わなくなったサインを放置すると、症状が悪化する場合があります。

更年期の乾燥・ゆらぎ肌を支える保湿成分の選び方|セラミド・ヒアルロン酸・ナイアシンアミドの役割

大理石の上に置かれた美容液のボトル

【結論】更年期の保湿ケアには、バリア機能を補うセラミド、水分を抱え込むヒアルロン酸、バリア機能の強化が期待されるナイアシンアミドを中心に選ぶことが基本になります。

  • セラミド※5(角質層の細胞間脂質を補う成分):角質層の細胞と細胞の間を埋める脂質の一種で、バリア機能の低下によって不足しがちな成分を補う役割が期待できます。
  • ヒアルロン酸(水分を抱え込む保湿成分):分子内に多くの水分を抱え込む性質を持ち、肌表面や角質層に水分を留める働きが期待できます。
  • ナイアシンアミド※6(バリア機能の強化が期待される成分):セラミドなど角質細胞間脂質の産生を促す働きが報告されており、バリア機能の強化が期待されている成分です。

※5:セラミドとは 角質層の細胞と細胞の間を満たす脂質の一種で、水分を挟み込んで保持し、外部刺激の侵入を防ぐバリア機能の主要な構成要素です。

※6:ナイアシンアミドとは ビタミンB3の一種で、セラミドなどの角質細胞間脂質の生成を促す働きが報告されている成分です。

ただし、どの成分が合うかは肌の状態や体質によって差があります。新しい化粧品を取り入れる際は少量から試し、赤みやヒリつきが出ないか肌の様子を見ながら判断することが大切です。

【🔗関連記事】

※乾燥肌と敏感肌を同時にケアしたい方は、こちらの記事もあわせてご覧ください。
👉 乾燥肌と敏感肌を同時にケアしたい人へ|バリア機能を守る"低刺激×高保湿"スキンケアの選び方

保湿ケアを見直す3ステップ|洗顔・化粧水・仕上げのタイミングと使い方

頬にクリームを塗って微笑む女性

【結論】洗顔はぬるま湯で摩擦を抑え、化粧水は洗顔直後に、仕上げの油分でフタをする3ステップを意識することが基本です。

  • ステップ1(洗顔):32〜34℃程度のぬるま湯で、洗浄力の強すぎない洗顔料を使い、こすらず泡で包むように洗う。
  • ステップ2(化粧水):洗顔後はできるだけ早く(目安として1〜2分以内)、セラミドヒアルロン酸を含む化粧水で水分を補う。
  • ステップ3(仕上げ):化粧水がなじんだら、乳液やクリームなど油分を含むアイテムで水分の蒸発を防ぐ。

日常生活でできるインナーケア|睡眠・食事・入浴の整え方

【結論】十分な睡眠時間の確保、たんぱく質・良質な脂質を含む食事、ぬるめの入浴を意識することが、外側からのケアを支える土台になります。

項目目安理由
睡眠6〜7時間程度肌のターンオーバーに関わる成長ホルモンは、主に睡眠中に分泌されるとされています。
食事青魚・良質な脂質、たんぱく質、ビタミンCを意識皮脂膜や細胞膜の材料となる脂質や、コラーゲン生成に関わる栄養素の補給が勧められています。
入浴38〜40℃程度のお湯に10〜15分程度熱い湯船に長時間浸かると、皮脂や天然保湿因子が必要以上に失われやすくなります。

こんな症状が出たら皮膚科へ|受診の目安とセルフケアの限界

【結論】市販の保湿ケアを1〜2ヶ月続けても症状が改善しない場合や、強いかゆみ・湿疹・皮むけを伴う場合は、自己判断でケアを続けず皮膚科を受診することが勧められます。

公益社団法人日本皮膚科学会が公開している「皮脂欠乏症診療の手引き2021」では、乾燥による肌トラブルに対して保湿療法を中心とした診療方針が示されています(詳細は本記事末尾の参考文献を参照)。以下のような症状がある場合は、自己判断でケアを継続せず、専門的な診断を受けることが望まれます。

  • 保湿ケアを1〜2ヶ月続けても乾燥やつっぱりが改善しない
  • 赤みやかゆみが強く、掻き壊してしまう
  • 湿疹やただれ、皮むけを伴う
  • 化粧水がしみる状態が続き、どのアイテムを使っても刺激を感じる
  • 使用した化粧品が合わず、接触性皮膚炎のような赤み・かぶれが出ている

これらに当てはまる場合は、皮膚科へ相談し、専門的な診断を受けることが推奨されます。

更年期の肌の乾燥・ゆらぎに関するよくある質問(FAQ)

Q1. 更年期で肌が乾燥する具体的なメカニズムは?

A. 女性ホルモンのエストロゲンが減少することで、皮脂分泌量と天然保湿因子が減り、肌のバリア機能が低下することが主な理由です。(詳細)

バリア機能が低下すると経表皮水分蒸散量が増え、肌内部の水分が失われやすくなります。

Q2. 更年期の肌の乾燥・ゆらぎはいつまで続きますか?

A. 更年期は閉経前後5年間、合計約10年間を指すとされ、その間ホルモン量は大きくゆらぎながら段階的に低下していきます。(詳細)

症状の続く期間には個人差があるため、数ヶ月〜数年単位で肌の状態を見ながらケアを続けることが基本になります。

Q3. 更年期の肌にセラミドが良いと言われるのはなぜですか?

A. セラミドは角質層の細胞間を満たす脂質で、バリア機能の主要な構成要素です。(詳細)

更年期にはこの成分が不足しやすくなるため、化粧品で補うことでバリア機能を支える働きが期待できます。

Q4. 更年期の保湿ケアはいつ・どのタイミングで見直すべきですか?

A. 以前と同じスキンケアで肌がつっぱる、しみるなどの変化を感じた時点で見直すことが勧められます。(詳細)

洗浄力の強い洗顔料をやめる、油分でフタをする工程を追加するなど、段階的に切り替えるとよいでしょう。

Q5. 更年期の肌トラブルで皮膚科を受診すべき目安はありますか?

A. 保湿ケアを1〜2ヶ月続けても改善しない、強いかゆみや湿疹を伴う場合は、皮膚科への相談が推奨されます。(詳細)

化粧水がしみる状態が続く場合も、自己判断でケアを続けず専門的な診断を受けることが望まれます。

まとめ|更年期の肌ゆらぎは「原因を知って保湿を見直す」ことから

【結論】更年期の肌の乾燥・ゆらぎは、エストロゲンの減少による皮脂分泌量とバリア機能の低下が主な原因であり、保湿ケアの見直しとセルフケアの限界を知ることが対策の軸になります。

更年期の肌の乾燥・ゆらぎは、エストロゲンの減少による皮脂分泌量とバリア機能の低下が主な原因であり、保湿ケアの見直しとセルフケアの限界を知ることが対策の軸になります。

  • 原因:エストロゲンの減少が皮脂分泌量とバリア機能の低下を引き起こす
  • 時間軸:症状は閉経前後約10年の更年期を通じて個人差をもって現れる
  • NG習慣:洗浄力の強いケアや、合わなくなったアイテムを我慢して使い続けることは避ける
  • 成分選びセラミドヒアルロン酸ナイアシンアミドを中心に選ぶ
  • 受診目安:1〜2ヶ月続けても改善しない、強い症状がある場合は皮膚科へ

更年期の肌の変化は一朝一夕で解決するものではありませんが、原因を理解した上でケアを継続すれば、肌の状態は少しずつ落ち着いていくことが期待できます。

※本記事は一般的なスキンケア情報を目的としており、特定の効果効能を保証するものではありません。肌状態に不安がある場合は、皮膚科専門医へご相談ください。

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