「午後3時に洗面所の鏡を見ると、額と小鼻だけテカっている…」
そんな経験はありませんか?
ナイアシンを調べると、ナイアシンアミド美容液とサプリメントの情報が混ざって出てきます。実は、脂性肌の悩みで検討するのは、化粧品に使われるナイアシンアミドです。ナイアシンアミド(ナイアシンの一種)は、2%配合の保湿剤で顔の皮脂排出量(=一定時間に皮脂腺から出る皮脂の量)が低下したとする試験があります。一方で、白人30名を対象とした6週間の試験では、皮脂排出量に統計的に意味のある変化(=偶然の差ではないと判断できる変化)は見られず、肌表面の皮脂量が減ったと報告されています。効き方は、試験の対象や条件によって異なると考えられます。脂性肌では、濃度・剤形(=乳液、ジェル、クリームなど、製品の形状や種類)・保湿成分・表示の4点で選び、赤みやかゆみが出たら使用を中止してください。この記事では、脂性肌の考え方から、ナイアシンとの違い、試験結果の読み方、選び方、使い方、やめる目安まで解説します。
脂性肌とは?テカリ・皮脂量・毛穴の目立ちを分けて考える3つの視点
【結論】「脂性肌」は、テカリという見た目、皮脂の量、毛穴の目立ちが重なった状態を指す言葉として使われることが多く、悩みの中心がどれかによって選ぶ製品が変わります。
夕方になると額や鼻まわりがベタつくのに、頬は洗顔後につっぱる。心当たりのある方もいるのではないでしょうか。
1. テカリ(見た目)
皮脂そのものに加えて、肌表面の乾燥でキメが乱れ、光が不規則に反射して見えることもあります。皮脂が多くなくてもテカって見える場合があります。
2. 皮脂の量
皮脂は皮脂腺(=毛穴につながる、皮脂を作って出す器官)から分泌されます。分泌量は、額・鼻筋・小鼻を含む顔の中央部分(=Tゾーン)で多いことが知られています。
3. 毛穴の目立ち
皮脂が多い部位では毛穴が目立ちやすいことがありますが、加齢によるハリ低下など、皮脂以外の要因でも目立つことがあります。毛穴の悩みが中心の方は、ナイアシンアミドと毛穴ケアの考え方|期待しやすい働きと失敗しない使い方も参考にしてください。
ナイアシンとナイアシンアミドは同じ?化粧品で使うのはどちら
【結論】ナイアシンは、ニコチン酸とニコチンアミド(ナイアシンアミド)の総称です。化粧品の脂性肌ケアで検討するのは主にナイアシンアミドで、ニコチン酸とは別の物質です。
サプリメントなど内服の場合、摂取量の上限や副作用の注意点があります。今回確認できた範囲では、飲むことで脂性肌が改善するとした根拠は見つかりませんでした。内服については ナイアシンアミドサプリの注意点|フラッシングや摂取量について、成分の違いは ナイアシンとナイアシンアミドの違いは?成分表の見方と4つの確認点 で解説しています。
皮脂への働きはどこまで分かっている?試験結果が割れている理由
【結論】日本人100名の試験では、2%ナイアシンアミドの使用で皮脂排出量(=一定時間に皮脂腺から出る皮脂の量)が低下したと報告されています。一方、同じ論文の白人30名の試験では、皮脂排出量に統計的に意味のある変化はなく、肌表面の皮脂量(一般的な皮脂量)が減ったと報告されています。
日本人100名を対象とした二重盲検試験(=使う人にも評価する人にも、どちらの製品かを伏せて行う試験)では、2%ナイアシンアミドの使用2週間後と4週間後に、顔の皮脂排出量(一定時間に皮脂腺から出る皮脂の量)が低下したと報告されています。一方、同じ論文に含まれる白人30名の顔の左右で比べた6週間の試験では、皮脂排出量に統計的に意味のある変化(=偶然の差ではないと判断できる変化)は見られず、肌表面の皮脂量(一般的な皮脂量)が減少したと報告されています(Draelos ら, 2006)。
読み取れるのは次の3点です。
- 試験の対象と期間で結果が一致していないため、効き方には条件による差があると考えられます。
- 確認されたのは皮脂排出量や皮脂量の変化までで、テカリの見た目や毛穴の印象の改善は評価されていません。
- 試験に使われたのは2%配合の保湿剤です。市販の美容液が同じ濃度・処方とは限りません。
化粧品として表現できるのは、「肌にうるおいを与える」「肌を整える」などの範囲です。「皮脂を減らす」「皮脂を抑える」などの表示がある製品は、その表示の根拠と、医薬部外品(=厚生労働大臣の承認を受けた効能の範囲で表示できる製品区分)かどうかを、パッケージや公式サイトで確認してください。
脂性肌が選ぶときの4つの基準
【結論】脂性肌は「濃度」「製品の形状(剤形)」「保湿成分」「表示」の4点で選ぶと、合わない製品を避けやすくなります。
朝の洗面所で、さっぱりしたジェルと、しっとりした乳液のどちらを手に取るか迷うこともあります。
1. 濃度:初めは低めから
試験で使われたのは2%でした。高濃度ほどテカリに向くという根拠は、今回確認できた範囲ではありません。刺激を感じやすい方もいるため、初めて使う場合は低めから始めるのが目安です。濃度の詳しい考え方は ナイアシンアミド高濃度とは?10%・20%の特徴と選び方 を参照してください。
2. 剤形:ベタつきやすい人はジェルや軽い乳液
剤形(=乳液、ジェル、クリームなど、製品の形状や種類)のうち、重いクリームはベタつきを感じやすいことがあります。ジェルや水分の多い乳液のほうが、使用感が合いやすい場合があります。
3. 保湿成分:乾燥させない
洗浄や拭き取りを重ねると、肌が乾燥してベタつきを感じることがあります。ヒアルロン酸、グリセリン、セラミドなどの保湿成分が入った製品を選び、保湿を省かないことが大切です。
4. 表示:全成分と効能表示を確認する
全成分表示で「ナイアシンアミド」の位置と、医薬部外品かどうかを確認します。配合濃度が非公表の製品もあるため、気になる場合は公式サイトで確認してください。
使い方と判断までの期間は?
【結論】洗顔後、化粧水のあとに少量から使い始め、判断は4週間を目安に行います。
- 洗顔後、化粧水のあとに使い、乳液やジェルで保湿します
- 初日は顔全体ではなく、小範囲で試します(パッチテスト=目立たない部位に少量をつけて、赤みやかゆみが出ないかを見る方法)
- 朝晩どちらに使うかは肌の反応を見て選びます。最初は夜のみにすると、変化を見分けやすくなります
- 日中の皮脂は、こまめに押さえる程度にします
順番や併用の詳細は ナイアシンアミドと毛穴ケアの考え方|期待しやすい働きと失敗しない使い方 にまとめています。
やめるべきサインと皮膚科に相談する目安
【結論】赤み、かゆみ、ヒリつき、腫れが出たら使用を中止してください。症状が続く場合は皮膚科に相談してください。
- 使用後に赤みやかゆみが出る
- 洗顔後にこれまでより強くつっぱる
- 赤く腫れたニキビや膿をもつ発疹が続く
脂性肌だと思っていても、実際は乾燥による「インナードライ」(=皮脂は多いものの、角層の水分が不足している状態)の場合があります。ニキビが続く場合は、自己判断せず皮膚科に相談してください。ニキビとの関係は ナイアシンアミドはニキビに使える?研究の範囲と選び方の3つの基準 も参照してください。
ナイアシンと脂性肌に関するよくある質問(FAQ)
Q1. ナイアシンアミド配合の化粧水は、脂性肌のテカリに期待できますか?
A. 皮脂排出量が低下したとする試験はありますが、結果は一致していません。(詳細)
日本人対象の試験では皮脂排出量の低下が報告された一方、白人対象の6週間の試験では皮脂排出量に統計的に意味のある変化(=偶然の差ではないと判断できる変化)はなく、肌表面の皮脂量の減少が報告されています。テカリの見た目の改善は評価されていないため、効果を保証できるものではありません。
Q2. ナイアシン(サプリ)とナイアシンアミド(化粧品)は同じですか?
A. 同じではありません。ナイアシンはニコチン酸とニコチンアミドの総称です。(詳細)
化粧品で使われるのは主にナイアシンアミドです。ニコチン酸ではフラッシング反応が出やすいことが知られています。
Q3. 濃度が高いほどテカリ対策に向きますか?
A. 高いほど向くという根拠は確認できていません。(詳細)
試験で使われたのは2%です。高濃度では赤みなどが出る場合があるため、低めから試してください。
Q4. 朝と夜、どちらに使うのがよいですか?
A. 朝と夜のどちらに使うかは、肌の反応を見ながら選ぶ方法があります。(詳細)
初めは夜のみで肌の反応を見て、問題がなければ朝にも使う方法があります。朝は日焼け止めを併用してください。
Q5. 赤みやかゆみが出た場合はどうすればよいですか?
A. すぐに使用を中止してください。(詳細)
症状が続く、腫れる、広がる場合は皮膚科に相談してください。
まとめ|ナイアシンアミドは脂性肌ケアの選択肢の一つで、効き方には個人差があります
ナイアシンは総称で、脂性肌のケアで検討するのは主にナイアシンアミドです。皮脂排出量が低下したとする試験がある一方、結果は一致していません。
- ナイアシンとの違い:ニコチン酸とは別物。化粧品ではナイアシンアミドを見る
- 試験の読み方:2%で低下の報告があるが、集団により結果が異なる
- 選び方:濃度・剤形・保湿成分・表示の4点
- やめる目安:赤み・かゆみ・ヒリつきが出たら中止し、続く場合は皮膚科へ
変化が見られるまでには時間がかかると考えられます。4週間を目安に、肌の状態を見ながら続けてください。
※本記事は一般的なスキンケア情報を目的としており、特定の効果効能を保証するものではありません。肌状態に不安がある場合は、皮膚科専門医へご相談ください。